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1月18日(水)クリエイトジャパンブログ


ANAがシドニー・羽田線を週14便に増便、パース・成田線も復活予定

 全日空は、3月26日からシドニー・羽田便を毎日2便、週14便に増便すると1月17日に発表しました。また、2023年のウィンターダイヤより、パース・成田線を週3便で運行する予定であることも発表しました。具体的なスケジュールは別途発表とのことですが、アフターコロナを見据えた本格的な国際線再開に乗り出しました。カンタス航空も2023年からメルボルン・羽田線を再開する可能性があるようです。

 

 そこで今日は、オーストラリアの中でも皆さんにあまり馴染みがないであろう、パースという都市について触れてみたいと思います。オーストラリアのインバウンドを狙っている事業者の皆さんは、シドニーやメルボルン、ブリスベンといった主要都市には出張で訪れたことがある方も多いと思います。また、仕事でなくてもゴールドコーストやケアンズには旅行で訪れたことがあるかもしれません。しかしパースとなるといかがでしょうか。恐らくほとんどの方は出張でも観光でも訪れたことがないのではないでしょうか。

 

 私自身は過去に出張で数回パースを訪れたことがありますが、とにかく遠いイメージです。自転の関係や風向きによりシドニーから飛行機で4〜5時間はかかります。自動車だと東海岸に位置するシドニーから西へ4,000キロ近く走るのですから、現在サマータイムのシドニーとは3時間の時差があるのも頷けます。人口は200万人強で、主要な産業は資源です。日本の大手商社もパースに拠点を構えています。ANAがパース・成田線を運行開始した背景には、政治的な理由もあるかもしれませんが、やはりそれなりの需要があってこその決断だと思います。その需要の土台になっているのは、パース市民の経済力にあると考えます。一昔前まではそこまで富裕層が住んでいるイメージはなかったのですが、シドニー、メルボルン、ブリスベンなどの主要都市の地価が高騰するのに合わせて、当時オーストラリア国内でも比較的地価が安かったパースに資本や人が流れた結果、富裕層が増えたのかもしれません。私の知人の日本人も、シドニーの物価や不動産の高さに嫌気がさし、何人かパースに移住しました。資源ビジネスを狙った人材もパースに集まり、パースから北に位置するシンガポールからの投資も続きました。

 

 以前とある日本の経済誌で、オーストラリアの好調な経済や賃金の高さを特集した記事を読みましたが、鉱山と港を往復するトラック運転手の年収は15万ドル(約1,350万円)と書いてありました。かなり過酷な仕事のようですが、1年だけと割り切って働く労働者も多いようです。鉱山会社が用意した宿舎に寝泊まりし、遊ぶ時間も場所もない生活が続くのですから、当然のことですがそれなりのお金が手元に残ることになります。オーストラリア人の国民性や気質を考えても、貯金をする人は少ないので、多くは不動産や投資、娯楽などに使うのだと思います。日本への直行便がない頃からシンガポール経由で日本を訪れていた人たちは、ANAの直行便運行は待ちに待った出来事だったのではないでしょうか。日本で高級飲食店経営者の方から聞いた話ですが、そんなに身なりがいいわけではないパースから来たというオーストラリア人男性が、毎日のようにお店に通って来て、連日最高級の和牛をオーダーするので不思議に思っていた、と。そこで私が今日書いた内容をお伝えしたところ、妙に納得された様子でした。

 

 全日空からはまだ具体的なパース・成田線の再開スケジュールは発表されていませんが、少なくともウィンターシーズンには間に合うようなので期待したいところです。

2023年1月 CRe8Japan 通信: テキスト

1月6日(日)クリエイトジャパンブログ

中国からの旅行者に対する規制に賛否両論の声

 中国が海外渡航規制を緩和したことから、日本やオーストラリアをはじめとする観光立国は、中国からの旅行者に対して規制することを決定しました。オーストラリアに入国する中国からの旅行者は、少なくとも42時間前にPCR検査陰性結果を提示する必要があります。この決定に関しては賛否両論で、連日テレビに関係者が登場し持論を展開しています。

 

 連邦保健大臣は「中国での感染状況が正確に把握できない状況では、国民の安全を確保することが肝要である」と述べる一方、観光業界は科学的に裏づけられた判断ではないとし、この決定を強く非難しています。国際航空・運輸協会事務局長は「ウイルス感染が蔓延している国は中国だけではなく、中国からの旅行者だけに対して規制するのは適当ではない。過去3年間で規制しても効果がないと証明されているのに、このようにあっさりと規制が復活するはとても残念である」と述べています。Chinese Australia Forumの会長は「中国のウイルス感染に関する情報が不足しているのは事実だ。多くの中国系オーストラリア人とも話をしたが、今回の決定は不合理なものではない」と政府の判断を指示しています。

 

 このようにオーストラリアでは政府の決定に対して、様々な立場のキーパーソンが活発に議論・討論し、国民もメディアを通してそれらの意見を鑑みながら個人の意見を持ち、それが最終的に国民の総意となります。移民国家の特性だと思いますが、ある特定の国や人種に対しての政策は、とても慎重かつ公正でなければいけないわけです。

 

 一方日本では、政府の決定をメディアがサラッと報道し、それで終わっているような印象を受けるのですが、それは印象だけに過ぎないのでしょうか。そもそも現在も3回ワクチン接種者以外は、入国の際は自国民も含め全ての国籍の人がPCR検査陰性証明を必要とするのは、日本を入れて果たして何カ国あるのでしょうか。それに対して議論と討論を重ね、国民の総意として続けているのであれば良いのですが、そうではないように思えます。今の日本は世界的にも稀な厳しい水際対策を継続しており、マスク着用や手洗いなども他国より徹底しているにも関わらず、感染は抑制できていません。

 

シドニーでバスや電車などに乗車すると、1人から2人くらいマスクをしている人は見かけます。私自身以前はマスクをして乗車していましたが、今はその習慣がなくなってきました。レストランやパブ、スーパーでも最近は全くマスクをしていませんが、未だ感染していません。そして昔のように少しでもマスクを外したら感染する、という恐怖も今はありません。スーパー・飲食サービスなどの従業員に関しては稀にマスクをしている人を見かける程度です。日本の知人もオーストラリアの知人も、ワクチン接種していなくても全く感染しない人もいれば、ワクチン接種していても感染する人はいて、感染してもほとんどが重症化するケース(入院するなど)ではないようです。オーストラリアでは極論を言えば、感染を恐れることよりも普段通りの生活を送ることの方が重要だ、というスタンスの時期になってきているように思います。もちろん高齢者や持病がある人はそうではないので、自身をウイルスから守るために細心の注意を払っていますが、少なくとも個人の判断で行動しており、日本のように空気を読み、人目を気にして行動することはありません。

 

前述したオーストラリアの国際航空・運輸協会事務局長は「我々は国際的な行き来を遮断し、経済に損害を与え、雇用を崩壊させる手段に頼ることなく、ウイルス感染をマネージメントする方法をすでに手に入れている。政府は科学的な政治をするのではなく、科学的事実を持って政治にあたるべきだ」とも述べています。このように過去の実績と証明を持って、強く発言できる組織や人物が日本にはいるのか、いるとしたらその役目はどなたなのか、ふとそんなことを思いました。

2023年1月 CRe8Japan 通信: テキスト
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