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2022年 12月28日(水)クリエイトジャパンブログ

日本とオーストラリアにみるカスタマーサービスの違い

日本の飲食店や宿泊施設の皆さんからよく聞く話ですが、同じサービスを提供していても日本人とオーストラリア人のお客様では、評価や反応が全く違うようです。例えば飲食店であれば、お店が尋常なく混み合うとどうしても食事の提供が遅くなってしまいますが、オーストラリア人は特に気にすることもなく、ビールなど飲みながら仲間とおしゃべりしてワイワイ楽しく待っている一方で、日本人の場合はそのイライラ感が伝わってきて、とても緊張するとのことです。中には席を立ち、怒って帰られる方もいらっしゃるとか。宿泊施設の方のお話によると、同じ部屋、同じ料金、同じサービスを提供していても、ネットでの評価は日本人の方が厳しいようです。本日のブログはこの差について触れてみようと思います。

 

まず値段に対しての価値観の違いについてですが、日本のグルメ番組を観ていると、食レポーターがよく「このボリュームで、このお値段!」という表現をします。30年以上もデフレーションが続く日本では、モノの値段は安い方が良い、という価値観がいつの間にか広く浸透しているようです。一方、オーストラリアも数多くのグルメ番組がありますが、このようなお店の紹介の仕方はほとんどありません。30年間以上右肩上がりで経済が成長しインフレーションが続くオーストラリアでは、安さへの期待感が希薄で、高くて当たり前が大前提です。最近はCheap Eat(チープ・イート)と呼ばれるアジア系レストランや、フードコートでも一品10ドルくらいはするのではないでしょうか。ではどのように食事を選ぶのでしょう。自分が求めている「モノ」かどうか、が大きな要素となります。

 

例えば自分が食べたいラーメンであればそれなりの値段($40=約¥3600!)を払ってでも食べるし、自分が食べたくないラーメンであればいくら安くても食べることはありません。自分の嗜好というのが割とはっきりしていて、食事だけではなく、宿泊、航空券、アクティビティなども基本的には同じ価値観で判断し、購入することになります。オーストラリアで日本食レストランを営む日本人オーナーに以前聞いた話ですが、オーストラリア人がランチで使うお金は、おおむね自分の時給だということです。つまりオーストラリアの最低賃金は現在$22ぐらいなので、それくらいの値段で自分が求めているランチであればOKということになります。時給が数十ドル、数百ドルという人は、昼間から高級ワインを開けて豪華なランチをするのも普通に見かけます。ちなみにラーメンチェーン店の「一風堂」はオーストラリアで大成功しているのですが、ラーメンの価格は日本の倍近くです。その成功裡にはオーストラリア人の嗜好や価値観を分析・把握した上での、見事な戦略・戦術が存在します。一風堂だけではなくお弁当・定食の「やよい軒」も高級和食店として同じくオーストラリアで大成功を収めています。では値段だけではない、お店を決める際の要素について触れてみようと思います。

 

そもそも食事をすることに対しての概念が、日本人のそれとはいささか違うことを認識する必要があります。簡潔に表現すると、食事の目的がお腹を満たすことはもちろん、その時間や空間を愉しむことにもあるのです。前述したように、オーストラリア人がなぜ料理を待たされても気にしないかと言うと、その待っている時間も彼らにとっては愉しむためのプロセスに過ぎない、と言えばわかりやすいでしょうか。随分前のことですが、ちょっと高級なシドニーのお蕎麦屋さんにこんな話を聞いたことがあります。まだオーストラリアでの営業に慣れない頃、日本人感覚で早く料理を提供するのが当たり前だと考えていたところ、あるお客さんに「そんなに一挙に料理を出されても困る。あなたは我々にさっさと食事をして早く帰ってほしいのか」と言われたそうです。これは極端な例だとは思いますが、長年オーストラリアに住んでいる私自身も、日本で食事する際に一挙に料理が出てくるのは、今でも少し違和感があり、そんなに急いで出さなくても良いのに、と思うことがあります。また、日本ではお料理が出てくるまでの間「お通し」を提供して、お客さんをもてなす仕組みがあります。ところがこの「お通し」は外国人にとって理解できない人もいるようで、なぜ好きでもないし頼んでもいない料理が出てきてお金も取られるのか、ということになりかねない日本独特のルールです。とはいえ日本人には浸透している商習慣なので難しいところです。ちょっとしたこぼれ話になりますが、私自身8年ぐらい前に出張で訪れた観光地で居酒屋に入店した際、豪華なお通しが出てきたので感動していたら、2千円チャージされていたのでビックリしたという苦い思い出があります。普段は滅多に文句を言わないオーストラリア人でも、流石にこのようなお店に当たるとクレーム必至だと思います。

 

 最後に「雰囲気」と「サービス」についても触れておこうと思います。日本では「美味い!安い!早い!」を売りにしているお店がたくさんあると思います。中には職人肌の頑固親父が売りで、私語厳禁などでも繁盛しているお店があるようですが、オーストラリアではそういった変わったルールがあるお店は受け入れられないでしょう。前述した通り、美味しいかどうかは個人の好みによって判断が違ってきますし、「安い」「早い」は急ぎのランチタイムなどには好まれますが、基本的に自分が好きなもの、認めたものを購入します。オーストラリアのグルメサイトが特に重んじているのは「味」「雰囲気」「サービス」です。「味」「雰囲気」「サービス」は、各自の価値観や物価に適しているかどうかで判断されます。この三つの評価のうち「味」は評価が高いのに越したことはありませんが、「雰囲気」については、日本の飲食店はかなりアドバンテージがあるように思います。昔ながらの古いお店でも、日本らしい雰囲気があると「Cool!」となります。「サービス」については人により評価がまちまちなのですが、私は日本のきちんとしたマニュアルに沿ったサービスがどちらかと言うと苦手で(コンビニでコチラを見ずにいらっしゃいませ〜という習慣や、大手居酒屋で必要以上に大声を出すルールなど)、オーストラリアのマニュアル化されていない個人のさりげないサービス(入店や退店する際にチラッとコチラを見て微笑んだり、手を振ったりする習慣など)が居心地良いです。少し脱線してしまいましたが、郷に入れば郷に従えで、日本では日本独自のルールがあるのですから、オーストラリア人には日本のサービスの本質でもある、「おもてなしの心」を体感してくれるととても嬉しく思うのです。

 

「一風堂」や「やよい軒」が成功しているキーポイントは、そのテーマ性とブランディングにあると私は考えます。「一風堂」は現在オーストラリア全土で7店舗ほど運営していますが、どのお店も行列必至の人気店です。オシャレな内装とセンスある空間。ワインに合う気の利いたおつまみの数々。入店するまでにくつろげる素敵なバーカウンター。つまり「一風堂オーストラリア」のコンセプトは、お腹を満たすための「ラーメン屋」ではなく、カジュアルかつおしゃれに女子やカップル、ビジネスマンが利用する「ラーメンダイニング」や「ラーメンバー」なのです。まずはワインやビールに合った見た目も美しい前菜から始まり、定番の「白丸」や「赤丸」といった博多ラーメンで締める、という飲食スタイルが定着しています。あるグルメサイトの紹介では、アルコール代を含まずに一人平均単価がおおよそ$35とのことです。

 

リピーターを増やすにはカスタマーサービスの向上が必要不可欠だとよく言われます。外国人観光客の対応は難しいと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。ある程度の国民性や嗜好を掴んでしまえば、日本人観光客の対応よりも神経を使わずに、楽しみながら対応できるはずです。長い文章になってしまいましたが、少しでもご参考になれば大変嬉しく思います。

12月23日(金)クリエイトジャパンブログ

ANAが羽田⇄シドニー便を1月22日から増便へ

ANAは12月20日冬のダイヤを一部変更することを発表し、羽田⇄シドニー便は1月22日から週10往復となります。先月のブログでも触れた通り、オーストラリアから日本への直行便の飛行機代金が高騰しています。燃料費や人件費が高くなり、旅行需要も増えていることが背景にあると思いますが、エコノミーの中でも一番安いクラスのチケットはほとんどなくなり、安くて往復1700ドル弱以上の座席しか空いてない状況です。特に年末から1月中旬にかけてのフライトはエコノミー往復2300〜5200ドルくらいで販売されているようです。

 

それでも今冬シーズンのインバウンド集客はどのエリアも好調のようで、各地で人手不足が深刻だという話を耳にします。この数年はコロナの影響で集客に頭を痛めていた方々が、今は人材確保に相当苦労しているようです。前々から本ブログで、今冬シーズンはインバウンドに対応できる人材確保が重要なキーポイントになると重ねて書いてきましたが、それがいよいよ現実となってきました。とは言えほんの数ヶ月前までは、日本の国境がいつ再開されるかはわからない状況が続いていたのですから、どれほどの人材を確保すればいいのかは、なかなか判断が難しかったのではないかと思います。

 

つまるところ、これも繰り返し書いてきましたが、政府の国境再開の判断が他国並みに数ヶ月早ければ、予約状況などを鑑みてもう少し計画的かつ現実的に人材を募集できたのではないかと思います。実際オーストラリアでは日本がコロナ対策に躍起になっていた数ヶ月前には、学生ビザ滞在者の就労時間延長、人手不足が予想される業界の移民受入強化、学生ビザ申請料の無料化など、矢継ぎ早に国会で法案化し人材不足に備えてきました。それでも人材確保は今も深刻な問題なのですから、日本のインバウンド業界の人手不足の深刻さは尋常ではないと想像できます。今冬シーズンは何とかして乗り切るしかないと思いますが、来シーズンはインバウンドが100%復活することを見越して、早め早めに計画し、具体的な施策に取り組むことが肝心かと思います。

 

6〜7年ぐらい前だったと思いますが、ニセコに出張した際にラーメン屋さんのご主人から聞いた話です。本来であれば冬シーズンは7days openで稼ぎたいところだが、どうしてもスタッフが集まらず泣く泣く週休2日で営業している、と心底残念そうに話してくれました。来年以降日本各地でこのような話を聞くことがないよう、国や行政がこの問題に対して真剣に取り組むことを強く望みます。

11月29日(火)クリエイトジャパンブログ

航空チケット代金の高騰について

 海外居住邦人の共通の問題として、日本の家族に何かあった際にすぐ駆けつけられないことが挙げられます。私や妻の親も高齢になってきたので、最近は以前にも増して心配になってきました。そんなことを考えながら直近の日本行きフライトの状況を確認したところ、あるエアラインでは日によってエコノミークラスで一人往復5,000ドル以上もかかり、一番高い日は8,000ドル以上もしました。以前は一人900ドル台で気軽に帰国できたのですが、この金額ではよっぽどの状況でない限り帰国することが出来ず頭の痛いところです。


 つい数週間前まではまだそこまで高騰しておらず、旅行会社の話によると欧米行きほど日本行きは高くないので、日本へのスキー旅行がやはり人気だということでしたが、現在は欧米並みに高騰しているようです。日本の国境再開の発表と同時に航空券を予約している人や、また、国境再開を期待して以前から予約している人はもっと安く購入していると思うのですが、それにしてもオーストラリア人の消費意欲の高さとホリデーへの執着は、並々ならないものがあると改めて驚かされます。とは言えこの高騰が続くと訪日旅行意欲にもやはり影響が出ると思われるので、コロナ前の価格に何とか戻って欲しいものです。そして1日も早く日本の入国ルールが、コロナ前と同様に戻ることを期待したいと思います。

11月22日(火)クリエイトジャパンブログ

日本とオーストラリアのギャップについて

 11月は日本のインバウンドに携わる多くの方々が来豪されました。関係者の皆さんといろいろお話しさせていただきましたが、口を揃えておっしゃっていたのは、オーストラリア入国時のスムーズさ、マスクなし生活の快適さ、日本入国時の煩雑さ、マスクなしからマスクありの生活に戻る煩わしさ、などです。郷に入れば郷に従えと言いますが、そのギャップは縮まるどころか広がる一方ではないかと心配になってきます。

 

 筆者のシドニーの知人は、日本のインバウンドだけではなくオーストラリアのインバウンドにも長年関わっている方なのですが、彼がこんなエピソードを聞かせてくれました。オーストラリア人のホテル営業パーソンと日本に先日セールスに行った際の話です。日本の旅行会社の担当者から、日本人観光客をオーストラリアに送客する際の条件として、ホテルのフロントスタッフが日本人観光客に対応をする際はマスクを着用してほしい、そしてレストランで食事する際はパティションを設置してほしい、との要望があったとのことです。オーストラリア人が日本に旅行する際に日本のルールを守るのは当然かとは思いますが、日本のルールをオーストラリアに持ち込むのは流石に対応できず(対応するレストランはないだろうし、フロント係にそんなことを強要したら労使問題を取り扱うフェアワークに訴えられるでしょう)、丁寧に送客をお断りしたと知人は言っていました。日本の旅行会社は世界中に日本人観光客を送客するのですから、もう少し世界の情勢や状況を把握してほしいものですねと、二人で話をしていました。


 また、先週日本の母に電話した際、彼女は開口一番「オーストラリアは今コロナとインフレンザが同時に大流行していると最近ニュースで言っていたけど、大丈夫?」と心配そうに尋ねてきました。確かに今年5月から6月にかけて、本格的な冬になる前にインフルエンザの予防接種をするよう政府や関係機関が呼びかけていたので、何年かぶりに私も7月に接種しましたが、ここ最近インフルエンザは話題にもなっていないし、マスクなしの生活を送っていることを母に伝えたところ、「信じられない。日本でマスクをしていないと白い目で見られるわよ」と言って驚いていました。私自身は日本のメディアがどのようにオーストラリアの状況を伝えているのかがとても気になりました。


 どの国にも独自の文化や習慣、ルールはあるのは当然のことですが、コロナや世界的なインフレはどの国も直面している共通の課題です。時には前例にとらわれた習慣やルールを臨機応変に変化させていかないと、日本と世界のギャップはますます広がるばかりか、大きく遅れをとることになりかねません。オーストラリアの目下の課題はコロナではなく、インフレ対応です。インフレに合わせて商品やサービスに価格転嫁され、それに伴い賃金も上昇を続けています。一方日本は価格転嫁できない土壌があり、賃金も上げることもできず、結果的に国民の生活が圧迫されることになります。さらに日本はコロナ第8波の影響で医療現場がひっ迫している市町村もある、というニュースを聞きました。この同じことの繰り返しに、まるで2年前のオーストラリアのデジャブを見ているような気がして愕然としました。世界共通の課題に対して、斬新な発想と行動を持って素早く立ち直る国と、従来の慣例に沿ってズルズル立ち直れない国。日本が前者になってくれることを心から願いたいと思います。

10月20日(木)クリエイトジャパンブログ

旅行関連やスキー関連の広告配信が急増!

  先月のブログで旅行会社への取り合わせが急増していることを書きましたが、今回はネット広告の配信が急増している話題をお届けします。

 

 弊社でも現在各エリアの企業や行政からの委託を受け、同時進行で多数の広告(Google広告やSNS広告)を配信中ですが、とにかく日本への旅行や北半球でのスキー旅行市場を狙った広告配信が物凄い勢いで流れてきます。日本の各エリアやスキーリゾートをはじめ、アクティビティツアー、スキー用品販売、世界スノーリゾート共通リフト券、旅行パッケージ、スノーリゾートシャトルバス、宿泊施設など、スマートフォンでちょっとSNSを覗いただけで、多岐に渡る業種の広告を目にします。


 これは筆者個人の嗜好に合わせたアルゴリズムの影響もあるかと思いますが、特にスキー関連の広告が目立ちます。その中でも特に多いと感じるのは、インスタグラムのストーリを見ているときに流れてくるスノー用品の広告です。スタイリッシュな目の引く画像にキャッチーな広告コピーがクリックを誘導し、最新のモデルが簡単にオンライン購入できる仕組みになっています。このすごい数の広告を実際日々目にすると、相当数のオーストラリア人が今冬シーズンに北半球へスキー旅行に出かけるのだろうと予測できます。この大きな市場を他国ではなくいかに日本に取り込めるか、引き続き皆様のお役に立てるようにベストを尽くしたいと思います。

10月14日(金)クリエイトジャパンブログ

飛行機代を払ってでも日本へスキー旅行に行った方が断然お得!?

 コロナ簡易検査キットで陽性が出た場合に設けていた報告義務ですが、VIC州は13日から、NSW州は14日から撤廃されます。このようにオーストラリアのコロナ規制の撤廃はますます進んでいますが、実際にコロナ関連のニュースも日々少なくなっていると思います。その分どのようなニュースが日々流れているかと言うと、最近では「豪州東海岸の洪水関連」「ウクライナ情勢」「リビングコスト高」「バリ島テロ事件から20年」「大手企業を狙ったサイバーアタックによる情報流出と身代金」などでしょうか。


 そこで話は少し脱線しますが、オーストラリアの物価について触れようと思います。現在世界的なインフレ状況ですが、もともと物価が高かったオーストラリアでは、それこそ日本の物価と比較すると異常とも言える物価高が続いています。例えばティッシュ1箱300円、マクドナルドのビックマックは600円でチーズバーガーは400円、カクテル1杯2,000円、タバコ1箱20本入り3,000~3,500円、スーパーマーケットのサーモン1切れ700円、テイクアウトの巻き寿司1ロール400円、ラーメン1杯1,800円といった具合です(お店や時期、為替レートにもよります)。少し前の話になりますが、洪水の影響でレタスの収穫に被害が出てしまい、数ヶ月前までレタスは1玉1,000円ほどしました。もはや笑い話になりますが、その頃ファーストフードのバーガーなどに挟んであるレタスの半分ぐらいがキャベツになったこともあります、現在はレタスの価格も落ち着きレタスに戻りましたが。


 オーストラリア人が日本へスキー旅行に出かける理由の一つに、国内でスキー旅行をするより日本に行った方が安いことがあげられます。短期旅行であれば流石にそれはないと思いますが、10日から数週間、または1ヶ月以上の長期旅行であれば、日々の飲食、宿泊、娯楽、レンタル、リフト券、チャイルドケアなどを考えると、たとえ飛行機代がかかったとしても現実的に日本の方が安くなる確率は大きいのです。おおよそオーストラリアの物価は日本のそれと比較すると2倍から3倍ぐらいだと思いますが、仮に1.75倍と低く想定して旅行代金を算出してみます。日本でのスキー旅行1泊につきキリの良い数字で20,000円(宿泊、3食、リフト券など)だと仮定すると、オーストラリアで同じグレードのホテルに泊まり食事した場合リフト券も含めて、トータル35,000円ぐらいになります。あくまでも単純に計算しただけなので少し大袈裟な数字かもしれませんが、10日間で15万円、20日間で30万円、30日間で45万円の差が出てきます。実際にはそこまでの差はないケースもあるかもしれませんが、飛行機代を払ってでも日本に行った方が得だというオーストラリア人がいるのもうなずけます。


 ここでポイントになってくるのは、日本人は数泊から1週間程度の短期旅行が主流なのに対して、オーストラリア人のホリデーは長期旅行が基本になっていることです。さて、現在の円安がどれくらいインバウンド復活の後押しとなるのか、次冬の動向に注視したいと思います。

10月6日(木)クリエイトジャパンブログ

コロナ規制の撤廃が進むオーストラリア

 9月後半のことですが、NSW州ではバス、電車、タクシーなどの公共交通機関で義務付けられていたマスクの着用が撤廃されました。実際バスに乗車してみると、マスク着用者はゼロとまではいきませんが、運転手も含めマスクを着用していない人がほとんどです。また、スーパーマーケットやショッピングセンターでもマスク着用者の割合はほんの数パーセントといったところでしょうか。マスク着用の習慣は基礎疾患のある人や高齢者などの一部の人々の間では続くと思われますが、少なくとも人目を気にしてマスクを着ける人はオーストラリアにはいないようです。


 また、現在コロナ感染者は自宅などで5日間の隔離が義務付けられていますが、今月14日から医療機関勤務者などを除き撤廃されます。すでに3ヶ月前から海外からの渡航者はワクチン接種していなくても自由に入国できます。これらの施策からは今後コロナを風邪やインフルエンザと同じように扱い、通常の生活に戻していこうとする政府の姿勢が伺えます。対する日本はいまだワクチン接種者でないと入国はできず、マスクの着用をしない人に対しては宿泊を拒否することも可能です。その他日本独自のルールも存在し、このままでは他国との差が開く一方です。これらのギャップがインバウンドの成長を鈍化させないと良いのですが。

9月30日(金)クリエイトジャパンブログ

過去最高のオーストラリア人が日本へスキー旅行!?

 今日はシドニーの旅行会社数社から得た情報をお届けしたいと思います。

 

 10月11日からの入国規制撤廃の発表直後から、どこの旅行会社も問い合わせや予約が急増しているようです。スタッフの少ないある旅行会社は、問い合わせや予約が殺到しているので電話の回線を一時期的に中断し、メールでのみの対応に切り替えたそうですが、それでも返信が追いつかず24時間体制で対応しているとおっしゃっていました。その方の見解では、過去最高のオーストラリア人が日本へスキー旅行で出かける可能性もあるのでは、とのことでした。その要因として、降雪具合などによって日本・カナダ・アメリカなどを毎年巡回してスキー旅行をしていた人たちが、今回は円安もあり一挙に日本に押しかけるかもしれないとのことです。むしろ2023-2024年シーズンは、カナダやアメリカに分散されるので、日本へのスキー旅行はコロナ前ぐらいに落ち着くのではないか、との見解でした。

 

 また別の旅行会社の方も、朝5時半から夜寝るまでずっとパソコンに向かって問い合わせの対応をしているそうで、コロナ前よりも忙しいとのことでした。この方いわく、ここ数年OTA(オンライントラベルエージェント)で予約しキャンセル等で痛い目にあった人たちがたくさんいるため、今までTTA(トラディショナルトラベルエージェント・実店舗を持つ旅行会社)を利用していなかった人たちからの問い合わせが増えているようです。また、日本の受け入れ側もコロナ禍で最低限のスタッフで対応しているので、この急激な変化に対応できるかを心配されていました。日本とやり取りする中で、その大変さが伝わってくるとおっしゃっていました。

 

 オーストラリアではコロナで旅行業界を離れた人はすでに他の定職に就いており、人材を確保するのが難しくなっています。日本においても恐らく同じ状況だと思いますが、次冬に向けてどれほどのスタッフをどのように確保するかは、とても大きな課題ではないでしょうか。

9月13日(火)クリエイトジャパンブログ

インバウンド復活後のマスク着用について

 日本は未だ外国人観光客は自由に旅行できない状況が続いていますが、本日はインバウンド復活後のマスク着用における、日本人とオーストラリア人の見識の違いについて触れてみようと思います。


 元々コロナ前からオーストラリアでは(欧米諸国も)、マスクを着用するという習慣がありません。コロナ前はまれにアジア人でマスクを着けている人を見かけたことはありますが、オーストラリア人がマスクを着けているのを見た記憶がほとんどありません。その典型的なエピソードとしてこんなことが以前ありました。


 ある日、来豪間もない日本人スタッフがマスクを着用して出社してきました。そのスタッフは風邪を引いていたらしく、しばらくゴホゴホと咳き込んでいましたが、いきなりオーストラリア人スタッフがその日本人スタッフに歩み寄り、「気持ち悪いのでマスクをとってくれませんか?とても不気味で怖いです」と言ったのです。このオーストラリア人スタッフは普段とても穏やかな優しい人間で、日本人スタッフとも仲良く仕事をしていて、オーストラリア人には珍しく残業することもあるとても辛抱強い人間でした。それに日本語が堪能で、日本にも住んでいた経験もあり、日本の風習や文化、習慣にも慣れているのですが、どうしても事務所内でマスクをしていること自体が我慢できなかったようです。また会話の端々から、マスク姿自体に違和感があるのだと思いました(確かに筆者自身もコロナ前の帰国の際、空港で日本人がマスクをしている姿に違和感がありました)。そう言われた日本人スタッフはキョトンとした顔でしばらく呆気にとられていましたが、すぐに気を取り直してマスクを外し謝りました。


 この日本人スタッフとしては、軽い風邪ぐらいで会社を休むという発想自体がなく、人に風邪を移さないために気をつかってマスクをしてきたのと思うのですが、オーストラリア人スタッフにとってマスク姿は不快で、スタッフ全員に風邪を移す可能性があると判断し、風邪を引いているのに出社することは非常識な行為だと考えたわけです。この件は極端な例かもしれませんが、一般的にオーストラリア人はマスクを着用したくないし、マスクをしている人が周りにいること自体を不快に思う人が中にはいるようです。


 コロナのパンデミックによってマスク着用に対する考え方がオーストラリアでは一変しましたが、ある特定の場所やオケージョンを除き、今ではほとんどコロナ前と変わらない生活に戻ってきています(感染を避けたい人やアジア人の中ではマスク着用の習慣は一部残っています)。ところが元々日本はマスクを着用する習慣が根付いていて、将来コロナがほとんど収束した場合でも、感染防止というより人目を気にしてマスクを着用し続ける人がたくさんいるように思います。コロナの影響によるマスク着用の習慣がなくなるのは、日本が世界で最も遅いかもしくはこのまま根付いてしまうのではないかと懸念してしまいます。


 世界のマスク着用義務は早々に緩和され、日本でも場所や条件によってはマスクを外すように促されていますが、一歩外に出るとほとんど人がマスクを着用したままです。マスクだけではなく、多くのレストランでは自治体によっては未だ同一世帯の会食であってもパティション越しに話す必要があります。共同トイレの温風ハンドドライヤーは未だに「コロナ感染防止のため使用禁止」と張り紙が貼ってあって使用できない箇所が多く存在します(そもそも手を触れない仕組みでしかも手を洗ったあとに使用するのに、なぜ感染するのかは謎なのですが。ちなみにオーストラリアではコロナ禍でも普通に使えました)。他にもいろいろな日本独自のルールがあり、今後インバウンドが復活した際はどこまで外国人観光客に適用されるのかが懸念されます。と同時に、外国人観光客が好まないシステム(例えば現金決済や飲食店での細かいルール、論理的に外国人が納得できないようなルール)を、需要やトレンドに合わせて改革できるかどうかも重要なポイントになってきます。


 「郷に入れば郷に従え」 と言いますが、快適に長期旅行を楽しんでもらい、そしてリピーターとして再び日本を訪れてもらうには、日本はいろいろな改革に着手しないといけない時期かもしれません。オーストラリアの入国緩和以降、日本からオーストラリアに来られた方が一様にマスクなしの生活に驚かれますが、オーストラリア人が日本を訪れた際、マスク着用義務がない場所でもマスクをしているたくさんの日本人を見て、果たしてどのように感じるのでしょうか。

9月08日(木)クリエイトジャパンブログ

オーストラリアはコロナ感染者数と死者数の発表を毎日から毎週に変更

 パンデミックの間はコロナ感染者数、死者数、入院者数、重症者数、ワクチン接種数などが毎日発表されていましたが、9月9日(金)の発表を最後に、週一度の発表へと変更になります。その理由は「当初に比べ日々の発表は重要ではなくなった」ということです。

 

 オーストラリアは6月頃から国民に対し、「オミクロン株の感染ピークは8月になるだろう。それまでは感染者は増えるが重症化するケースは少ないので、パニックになることなく冷静に対応するように」と呼びかけてきました。自宅で簡単に検査ができる簡易PCR検査キットで陽性結果がでた場合も、症状が軽ければ1週間の自宅隔離を義務付けただけなので、医療現場が混乱することもありませんでした。

 

 ここ数年のコロナ禍において、日本もオーストラリアも同じような波で感染が拡大しましたが、それに対する政府の対応やスピードは随分と違うことを実感しました。日本は2~3ヶ月オーストラリアより対応が遅れている印象です。そのことを考えると、日本が続けている感染者数等の毎日の発表はいつまで続くのか、そして他国がとっくに再開している国境を、中途半端な施策でいつまで閉ざすのか、とても心配になってきます。

 

 思えば14年前に起こったリーマンショックでは、オーストラリは大胆かつスピーディーな経済支援政策で、世界的にみてもいち早く経済を回復しましたが、日本は対応が後手後手に回り、その後も経済は低迷したままで国民の所得は増えず、2021年度国民一人あたりのGDPも世界24位まで下がり、あっという間にオーストラリアの10位と大きく差がついてしまいました。

 

 本ブログで幾度となく書いてきましたが、国の政策とそのスピードは国民の生活を大きく左右する大きなポイントだと思っています。引き続き日本とオーストラリアの政策に注視していきたいと思います。

8月12日(金)クリエイトジャパンブログ

オリビア・ニュートンジョンを偲んで

 8日、オーストラリアは国民的大スターのオリビア・ニュートンジョンさんが亡くなったことで、深い悲しみに暮れました。

 

 イギリス生まれオーストラリア育ちのオリビアさんは日本とも関わりが深く、日本の音楽文化の発展と日豪の友好な関係構築に寄与したとして、昨年秋に日本政府から「旭日小綬章」を綬章しました。2015年には海外エンターテイナーとして初めて福島に招待され、チャリティーコンサートを開催しています。その時の感動をTBSニュースのインタビューで「人々のエネルギー、お互いを助け合う文化、人々の優しさなどを感じる貴重な体験だった」と語っています。ちなみにですが、震災後初めて福島を訪れた海外の首脳も、オーストラリアのジュリア・ギラード元首相だったと記憶しています。
 

 オリビアさんは長年にわたり乳がんを患っていて、乳がん患者を支援するために財団基金を設立して活動していたのは有名な話ですが、パートナーが突然失踪したり、自宅で使用人が何者かによって殺害されたりと、まさに波乱万丈の人生だったと思います。それでもテレビに映し出されるその姿は、いくつになっても若々しく、いつも明るく元気はつらつで、とてもチャーミングで、その気さくでフレンドリーな人柄はブラウン管からでも十分に伝わってきました。多くのオーストラリア人はオリビアさんのことを、歌手や俳優としてだけではなく、癌と闘いながら人々に勇気と希望を与えてくれる、そして苦しみや悲しみから立ち上がるヒロインとして、老若男女問わず彼女のことが大好きだったと思います。

 皆さんはオリビアさんの歌で印象に残っているはどれでしょうか?筆者は「カントリーロード」と「ジョリーン」です。あの澄み切った高音の、憂いと哀愁を感じる歌声がとても魅力的でした。杏里さんの大ヒット曲「オリビアを聴きながら」の歌詞に「オリビアは寂しい心なぐさめてくれるから」というフレーズがでてきますが、まさにオリビアさんは世界中の人を励まし、慰めてくれたと思います。

 オリビアさんがずっと続けてきた乳がん患者を支援する基金は、今後もその意思を引き継いで続けられるそうです。日本の文化や伝統、和食やおもてなしの心が大好きだったオリビアさん。昨年秋のインタビューでまた日本を訪れたいと言っていたオリビアさんの願いは叶いませんでしたが、日本の美しい情景や人々の優しさは心に刻まれていることでしょう。安らかに眠られることを心からお祈りいたします。

8月10日(水)クリエイトジャパンブログ

エアライン各社が今後の運行予定を発表、ジェットスター航空は2年4ヶ月ぶりに運行再開

 ジェットスター航空は7月から2年4ヶ月ぶりに日本路線を再開し、カンタス航空は2年半ぶりに9月から日本路線を再開します。その他各エアライン各社が国際線の運行予定を発表しましたので、以下今後の参考にしていただければと思います。

<ANA>
シドニー→羽田線

10月30日(日)まで週7便で運航予定


パース→成田線

10月29日(土)発の便まで運休予定

最新の運航情報はこちらでご確認ください。
https://www.anahd.co.jp/group/pr/202205/20220517-2.html

<JAL>

シドニー→羽田線

9月30日(金)まで週5便(日、月、火、木、土)で運航予定

10月1日(土)から10月29日(土)まで週7便で運航予定


メルボルン→成田線
8月31日(水)まで週2便(火、土)で運航予定

9月1日(木)から10月29日(土)まで週3便(日、火、金)で運航予定


最新の運航情報はこちらでご確認ください。
https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2022/inter/oceania/

<QANTAS>

シドニー→羽田便

9月12日(月)から週3便(月、木、土)で運行予定

メルボルン→羽田便

10月30日から週3便(火、木、土)で運行予定

ブリスベン→羽田便

10月31日から週3便(月、木、土)で運行予定

新型コロナウイルス影響下のフライトについてはこちらをご確認ください(日本語サイト)。

https://www.qantas.com/jp/ja/coronavirus.html

<Jetstar>

ケアンズ→成田便

10月29日(土)まで最大週5便運行予定

ケアンズ→関西便

10月29日(土)まで最大週4便運行予定

ゴールドコースト→成田便

10月29日(土)まで最大週3便運行予定

ジェットスター7月22日発表のニュースリリース(日本語)をご参照ください。

https://www.jetstar.com/_/media/files/japan-and-korea/japan/news/2022/20220722.pdf?la=ja-jp

7月12日(火)クリエイトジャパンブログ

オーストラリア各地で安倍元首相を偲ぶ

 7月8日の安倍元首相のニュースはオーストラリアでも衝撃が走りました。どのテレビ局も緊急特番を組み、繰り返し現場の映像を流していましたが、緊急速報のテロップの文字が「Shot(狙撃される)」から「assassinated(暗殺される)」に変わったときは、現実に起こった本当のことなのだろうかとなかなか信じることができませんでした。思想や政治的なことを通り越して、多くの日本人はそのように思ったのではないでしょうか。私自身未だに朝目が覚めるたびに、心にポッカリと穴が空いた気持ちになります。

 

7月10日、シドニーのオペラハウスは日本国旗が投影され、メルボルンのフリンダースストリート駅は日の丸色の赤と白に染められ、安倍元首相への哀悼の意が表されました。ブリスベンやアデレードのランドマークの建造物も、同じように赤と白に染められました。それらの現場にいた日本人の中には、オーストラリア人からお悔やみの声をかけられ、強くハグされた人もいたようです。

 

そこで今回のブログは筆者個人の思い出となりますが、安倍元首相のオーストラリアにまつわるエピソードをいくつかご紹介できればと思います。

 

2017年1月、安倍元首相は当時のターンブル豪首相との首脳会談のために来豪され、それに先立ちシドニーヒルトンで開催された「日豪観光セミナー」でもスピーチされ、私も参列させていただきました。安倍元首相のスピーチは英語の原稿を読み上げるのではなく、ご自身の日本語を同時通訳するスタイルで行われましたが、その内容は「世界的なスノーリゾートとして有名になった北海道、ニセコの雪の魅力を発見して、全世界に広めてくれたのはオーストラリアのスキーヤーの皆さんだった」といった話で始まり、「今や北海道だけではなく日本各地のスキーリゾートが世界中の観光客で賑わっているのは、オーストラリア人の皆様のお陰だ、一国を代表して心からお礼申し上げる」といったものでした。そのスピーチを聞いて日本への観光プロモーションに携わる者として、大変有り難く心強く感じたのですが、スピーチの原稿はてっきりオーストラリア人向けに官僚が用意したものだと思いました。

 ところがそのあと元首相は「オーストラリア人の友人の誘いで毎年のようにニセコにスキー旅行に家族で出かけ、友人の別荘に泊まり、スキーを楽しみながら、オーストラリア人で賑わうゲレンデを感慨深い思いで眺めていた。いつの日かターンブル首相と一緒にニセコでスキーを楽しみたい」と、自身の経験を披露しながら述べられました。安倍元首相はじめ、松山日本政府観光局理事長、田川日本旅行業会会長らが出席された日豪観光セミナー及び昼食会は、私にとって心に残る大切な思い出となりました。

 もう一つ安倍元首相で思い出されるのは、2014年の暮れに発生した白馬での地震の際です。風評被害を心配しておられる地元の方々に対して、オーストラリアの旅行会社やすでに白馬への旅行を予約しているオーストラリア人旅行者と連絡を取り合い、旅行のキャンセルなど全く心配がないことを、安倍元首相のFB投稿をシェアして情報配信しました。以下、安倍元首相のFBからの引用となります。

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長野県北部での地震によって被害に遭われた皆様へお見舞いを申し上げます。
本日、白馬村へ被害状況の視察にいってきました。
冬がもうすぐそこまで迫っている中で、被害者の皆様が寒い思いをしないよう万全な対応をとってまいります。
同時に、白馬村にはオーストラリアをはじめ、世界中からスキーシーズンには観光客が訪れます。
スキー場側は宿泊先も含めほとんど被害は無く、受け入れは万端とのことです。
地震による風評被害を払しょくするためにしっかりと情報を発信していこうと思います。安倍晋三
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 オーストラリアから日本への旅行が好調な要因はたくさんありますが、両国が政治的にも経済的にも良好な関係であることが前提です。安倍元首相とアボット元豪首相が、個人的にとても仲が良かったことは有名な話ですが、その良好な関係はその後ターンブル元豪首相やモリソン前豪首相にも引き継がれ、こんにちの日豪の強固な関係維持に至っています。キャンベラの国会議事堂で日本の首相として唯一スピーチした安倍元首相の日豪関係への功績は計り知れず、その想いはオーストラリア人にとっても同じでしょう。オーストラリア各都市のアイコンが日の丸で彩られたことが何よりもそれを物語っています。

 安倍元首相のご冥福を心よりお祈りいたします。

7月6日(水)クリエイトジャパンブログ

オーストラリアはワクチン未接種者でも入国可能に

 オーストラリア政府は、オーストラリア入国の際に必要だったワクチン接種証明の提示を7月6日から撤廃し、ワクチン未接種者でも自由に入国できるようにすると発表しました。また、同日からDPD(Digital Passenger Declaration)も不要になります。この決定により観光客を含む全ての人が自由に入国できるようになりますが、オーストラリアの観光産業は今後一気に活気づくことになるのでしょうか?あくまでも筆者個人の見解ですが、現在の豪ドル高や物価高を考えると、そう簡単ではないのかとも思います。特に円安の日本からの観光客にとっては、コロナ前と比較すると割高な旅行になってしまうのではないでしょうか。一方、教育産業にとっては大きな追い風になる可能性があります。サービス産業における深刻な人手不足が課題になっているオーストラリアは、政府がすでに海外留学生の受入人数枠の拡大を決定しており、人材確保に躍起です。また、留学生にとってオーストラリアの授業料や生活費は割高に感じる反面、飲食店でのアルバイトの稼ぎだけでも十分に生活できるほどの最低賃金が定められており(日本の約2.5倍)、オーストラリア留学を決定する要因にもなっているようです。

 

 比較して日本は本日時点で海外からの観光客はまだ自由な個人旅行はできず、ワクチン接種証明や訪日前のPCR検査も必要です。1日も早くオーストラリア並みの対応を願うばかりですが、日本ではオミクロン株のBA.4とBA.5の感染拡大に関するニュースが大きく取り上げられていることが少し気になります。実はオーストラリでもBA.4とBA.5の感染状況は日本と同様に急激に増加傾向にあり、ニュースでも取り上げられているのは日本と同じです。では何が違うかというと、一番大きな差はメディアの放送の仕方と行政の記者会見の内容だと思います。オーストラリアでも行政のトップや保健省の責任者が、市民に対して感染予防とワクチン摂取を呼びかけメディアもそれを取り上げていますが、最近筆者が観た日本のニュースでは、街頭インタビューでの不安な声がクローズアップされ、感染が広まっている地域の行政トップによる「緊急事態」という言葉を発した記者会見の様子が流れていました。行政のトップが「緊急事態」だと発言することは、市民にとってはやはり相当インパクトがあり、また以前の制約された生活に戻ることが脳裏をよぎるのではないでしょうか。

 

 コロナや物価高など世界共通の課題においては、各国の政策や政治的判断が国の将来を大きく左右するのはもちろんのことですが、各国のメディアの姿勢や取り上げ方の差は国力の差につながる大きなポイントではないかと思います。国民の健康第一がどの国でも最も重要ではありますが、国民を経済的な窮地に追い込むことなく、メディアや国民感情によって経済支援政策の実施や水際対策の緩和が、先延ばしや後戻りしないことを願いたいと思います。

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