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2022年 6月20日(月)クリエイトジャパンブログ

オーストラリア・シドニーの冬の風物詩「Vivid Sydney」に見るインバウンドビジネス

 オーストラリアは暦上で6月から8月までが冬なのですが、この時期、特に夜のシドニーは寒いので、極端に人出が減り海外からの観光客も少ないため、ビジネス的には大変厳しい時期でした。と過去形で書いたのには理由があり、2009年に始まった「Vivid Sydney」と呼ばれる「光と音とアイデアの祭典」が5月下旬から6月中旬まで毎年約3週間開催されるのですが、今では観光業に巨額をもたらすシドニーを代表する一大イベントとなっているからです。この2年間はコロナ禍で開催中止となっていましたが、今年は3年振りに開催され、コロナ前を上回る盛り上がりでした。そこで今回のブログは日本のインバウンドに直接関係はありませんが、オーストラリアのインバウンドビジネスから何かヒントを得ていただければと思い、「Vivid Sydney」の話題をお届けしたいと思います。

 この祭典を簡単に説明すると、シドニーの街中が色とりどりの光でライトアップされ、建物などに映し出されるプロジェクションマッピングや光のアート、眩いばかりのイルミネーションやライブ音楽などを楽しめるイベントです。地元市民はもちろん国内外の多くの観光客も訪れ、その数はコロナ前で240万人を記録し、1億4300万豪ドル(現在のレートで約140億円弱)の経済効果をもたらしました。今でこそドローンを使った天空ショーや大掛かりな噴水ショーなども鑑賞できますが、はじまり当初は小規模でひっそりと開催されていました。筆者も当時のことをよく覚えていますが、正直それほどパッとしないイベントだなと思った記憶があります。実績がなかったので最低限の予算でスタートしたのでしょうか、定かではありませんが。ところがその後オペラハウスやロックス、ダーリングハーバーといった有名観光スポットもイベント会場に加わったため、認知度や知名度がアップし、今では冬のシドニーには欠かせない風物詩としてすっかり定着しました。


 このイベントに関して筆者が注目したい点が2つあるのですが、その一つは冬の閑散期に最大限の経済効果をもたらしたことです。当時の「Vivid Sydney」は、街中にある建造物をそのままスクリーンに見立て、そこにプロジェクターを使って映像やアニメーションを投影し、アート作品をそのまま映し出す手法が中心でした。もちろんプロジェクターというハード機器や設置にそれなりの予算はかけたと思いますし、NSW州政府の観光イベントを管理する機関「Destination NSW」のプロジェクトメンバーやデザイナーなどの人件費も結構な支出だったのではないかと思われます。発足当時の経済効果は微々たるものだったことでしょうが、先にも述べたとおりここ数年(コロナ禍を除く)の人出の多さは突出しています。そしてプロジェクター・マッピングやライティングの優れているところは、電源を切ってしまえばあっという間に元の街並みに戻るところです。昼間のオペラハウスは普通に鑑賞できる建造物ですが、その象徴として夜はいろいろなイベントに合わせて姿を変貌させています。最近ではVivid Sydney以外にも「Australia stands with Ukraine(オーストラリアはウクライナと共に)」のメッセージを発するためにウクライナ国旗を身にまとったり、東京オリンピック閉幕後はまだコロナ禍で凱旋パレードができなかった選手を讃えるために、彼らの画像を連日映し出したりしていました。


 そしてもう一つの注目点は、このイベントによって若手クリエイターたちを啓発し、その才能を発掘する機会にもなっていることです。「光と音の祭典」として始まったこのイベントは、その後「光と音とアイデアの祭典」、つまり「アイデア」という言葉が加わり、期間中はクリエイティブ産業を中心とした講演、フォーラム、ワークショップ、トークショーも開催されます。また、「Vivid Light」「Vivid Music」「Vivid Ideas」の他、2019年から「Vivid School」というストリームも追加され、若者の創造性や革新を助勢するための教育プログラムも実施されています。


 いかがでしょうか?この成功事例を日本ですぐに活用できるわけではありませんが、アイデア次第で最初は少ない予算でもスタートでき、国内外の観光客も獲得でき、さらには次世代を担う人材を育てることができるイベントの実例として、今後のインバウンドビジネスのヒントになればとても嬉しく思います。


実際の映像はこちら→https://www.youtube.com/watch?v=L9bLRnTC3k4

公式ウェブサイト→https://www.vividsydney.com/

6月9日(木)クリエイトジャパンブログ

各地でパスポート更新手続きの大行列が発生

シドニーやメルボルンのパスポート・オフィスに、パスポートを更新や申請状況を確認する人たちで連日大行列が発生している、と各テレビ局が伝えています。この2年間はパンデミックのため更新の必要がなかったのですが、ここに来て各国が国境を再開し、エアライン各社も通常の運行に戻していることから、パスポートが失効した人たちが一挙にパスポートの申請をしているようです。また、すでに申請している人たちも、パスポート・オフィスから一向に連絡がなく電話も繋がらないので、手続きがどうなっているか確認に訪れる人も大勢いるようです。


パスポート・オフィスも人員をカットしていたところに一挙に更新や再申請の申し込みが増えたので、スタッフを増員して対応にあたっているとのことですが、需要に全く追いつくことができずこのような事態を引き起こしているとのことです。ちなみにこの2年間でパスポートを失効した人は140万人にのぼるとのことで、1日に1万から1.2万件の申請があるそうです。


実際行列に並んでいる人や窓口で対応している人のことを考えると大変気の毒だとは思うのですが、いよいよ海外旅行需要が完全に復活する実感が湧いてくるニュースでした。


行列の画像や動画はこちらを参照→ https://www.9news.com.au/national/aussies-wait-for-hours-to-renew-passports-in-sydney/c73f0861-f922-4cf8-b045-14119952138a

5月31日(火)クリエイトジャパンブログ

日本とオーストラリアを結ぶエアライン各社が次々と直行便の増便を決定!

日本が6月10日から外国人観光客受け入れを再開することことで、日本のインバウンド業界も盛り上がってきたところですが、日本とオーストラリアを結ぶエアライン各社も次々と直行便の増便を決定しています。今回のブログは現在発表されている各エアラインの決定内容をまとめましたので、今後の参考にしていただければと思います。

*発表内容は5月25日時点のものです。状況によって変更になる可能性がありますので、最新情報につきましては各エアラインサイトなどでご確認ください。

<ANA>

シドニー→羽田線

7月1日(金)まで週5便(日、月、火、木、金)で運航

7月2日(土)から10月30日(日)まで週7便で運航予定

それ以降の運航予定については未発表

パース→成田線は10月29日(土)発の便まで運休予定

それ以降の運航予定については未発表

最新の運航情報はこちらでご確認ください。

https://www.anahd.co.jp/group/pr/202205/20220517-2.html

<JAL>

シドニー→羽田線

6月30日(木)まで週3便(火、木、土)で運航

7月1日(金)から7月31日(日)まで週5便(日、火、木、金、土)で運航

8月1日(月)から9月30日(金)まで週5便(日、月、火、木、土)で運航予定

それ以降の運航予定については未発表

メルボルン→成田線

6月18日(土)まで週2便(火、金)で運航

6月19日(日)から8月31日(水)まで週2便(火、土)で運航

9月1日(木)から9月30日(金)まで週3便(日、火、金)で運航予定

それ以降の運航予定については未発表

最新の運航情報はこちらでご確認ください。

6月 https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2022/inter/220601_05/

7月 https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2022/inter/220701_05/

8月 https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2022/inter/220801_05/

9月 https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2022/inter/220901_05/

<QANTAS>

シドニー→羽田便は10月2日から週7便で運行

メルボルン→羽田便は10月30日から週3便(火、木、土)で運行

ブリスベン→羽田便は10月31日から週3便(月、木、土)で運行

新型コロナウイルス影響下のフライトについてはこちらをご確認ください(日本語サイト)。

https://www.qantas.com/jp/ja/coronavirus.html

<JETSTAR>

日本便を7月から再開予定

ジェットスター5月24日発表のニュースリリース(日本語)をご参照ください。

https://www.jetstar.com/_/media/files/japan-and-korea/japan/news/2022/20220524.pdf?la=ja-jp

5月30日(月)クリエイトジャパンブログ

「Snow Travel Expo 2022」がメルボルンとシドニーで開催され、大盛況のうちに幕を閉じる!

新型ウイルスのパンデミックの影響を受け、2020年は会場でのイベントは中止になりオンラインのみでの開催、2021年は日本からの出張者がいない中で開催された「Snow Travel Expo」ですが、今年は3年ぶりに通常開催となり、日本からも多くのブースが出展され、各エリアからも大勢の方が出張でお越しになりました。両会場とも熱気に包まれ、具体的なスキー旅行計画を立てるために来場された人が多く、どのブースでも熱心な質問が飛び交っていました。特にシドニーで22日に開催されたエキスポにおいては、15日に開催されたメルボルンでのエキスポ直後の17日に、日本がオーストラリアも含めた4カ国から小グループの観光客を受け入れるニュースが流れたこともあり、日本ブースが立ち並ぶエリアでは時間帯によっては歩くのも困難なほど賑わっていました。2年以上に渡り海外旅行やスキー旅行が抑制され、シドニーとメルボルンでは日本の緊急事態宣言とは比にならないロックダウンという厳しい行動制限が課されたオーストラリア人の、その蓄積された鬱憤やフラストレーション、旅行意欲や購買意欲が一気に弾けたように感じました。


来場者数はコロナ前を下回っているようですが、体感的にはコロナ前と変わらない活気を感じました。恐らく各来場者の滞在時間が長く、時間をかけてじっくりブースを回っていたためかと思います。同じブースに何回も足を運ぶ人も見受けられました。日本ブースが立ち並ぶエリアは相変わらず大人気でしたが、アメリカやカナダの意気込みも感じたエキスポでした。アメリカの「UTAHリゾート」は入り口正面に大きなロゴを設置して、ブースでは細かな発泡スチロールを雪に見立てて記念撮影できるようにし、スキー旅行気分を盛り上げる演出をしていました。カナダブースは大型スクリーンやエスプレッソマシーンを設置して来場者の誘導を図り、かなりの予算をかけてアピールしていました。


21日に行われたオーストラリアの総選挙では、労働党が自由党を破り約9年ぶりに政権を奪還しました。これにより労働党が公約していた最低賃金アップも近々実施され、それに伴い企業側も商品やサービスの値上げをせざるを得ない状況となり、オーストラリアは今後もインフレ状態が続くことになります。日本へのスキー旅行が人気な理由の一つに、「高品質なのにお手頃価格で旅行ができること」が挙げられますが、日本の今のデフレ状況でのスキー旅行は、オーストラリア人から見ると今後ますます魅力的に映るでしょう。さらに現在の円安豪ドル高は購買意欲を高める追い風となり、実際今回のエキスポ会場で販売されていたパッケージの売れ行きや予約は絶好調だったようです。


エキスポを主催した代表者の話では、来場者の6割ぐらいは日本をディスティネーションとして選択するのではないか、とのことでした。また、オーストラリアから日本へのスキー旅行需要が完全に復活するのは次々シーズンではないかとのことで、次シーズンはその第一歩となる重要なシーズンであり、今回のエキスポは日本のスキーリゾートにとって大きな意味と成果があったと思う、というコメントをもらいました。オーストラリア系旅行会社の話では、コロナ禍において人員をカットしてところへ急に問合せが増え、円安のうちに申込金を払いたいという人も多く、人手不足が深刻な課題になりそうだ、とのことでした。来場者ともいろいろ話をしましたが、すでに日本や他国へのスキー旅行を申し込んだ人、日本に行くか他国にするか決めかねている人、日本へのスキー旅行を決定しているがどのスキーリゾートにするか迷っている人、2022-2023シーズンは様子を見て2023-2024シーズンの情報を探している人など様々でした。2022-2023シーズンはそれなりのインバウンドが日本に戻ると予想されますが、2023-2024シーズンは完全に復活する手応えを感じました。各エリアやリゾートにとっては、その需要を次シーズンで取りこぼすことなくしっかり囲い込みし、次々シーズンにつなげることがとても大切だと思います。思えばたった1年前までは、「インバウンドが完全に復活するまでには最低でも5年ぐらいはかかるのではないか」という意見もありましたが、今回のエキスポを体感してそれら意見は杞憂に終わることを確信しました。

4月6日(水)クリエイトジャパンブログ

オーストラリア入国前のPCR検査が不要に

オーストラリア政府は3月後半、オーストラリアに入国する72時間以内に義務付けていたPCR検査を、4月17日から不要にすると発表しました。これにより旅行者を含む全ての人が入国する際に必要なものは下記の通りとなります。

●有効なビザ(ETA等)

●DPD(Digital Passenger Declaration)https://www.homeaffairs.gov.au/covid19/

●2回のワクチン接種証明(英語)https://www.passports.gov.au/guidance-foreign-vaccination-certificates


これらの提示とマスク着用でスムーズにイミグレーションを通過できることになりますが、入国後24時間以内にRAT(Rapid Antigen Test:迅速抗原検査)もしくはPCR検査を受け陰性になることが条件です。陽性になった場合は7日間の自己隔離になります。注)州政府による対応の違いや、日本から持ち込む検査キット等の情報に関しましては、各自でご確認ください。

振り返ればオーストラリアはこの2年間、他国と比較しても大変厳しい行動規制や入出国規制を義務付けてきましたが、その間順調にワクチン接種も進み、今では世界屈指のワクチン接種率を誇ります。今回の決定を弾みに、今後は更にコロナとの共存を念頭に入れた経済活性化政策を推し進めることになると思います。

一方未だウイルス感染は収束せず、NSW州だけでも日々1〜2万人以上の感染者が確認されています。日本よりマスクを着用している人が少なく、密になる場面を多く見受けられますので、日本から出張やホリデーで来豪される方は十分な注意が必要です。重症化するケースは少ないとは言え、今も感染者や濃厚接触者は7日間の隔離が義務付けられており(4月6日時点*)、せっかくのビジネスチャンスや休暇が台無しになってしまいますのでくれぐれもお気をつけください。*その後濃厚接触者に対する規制が緩和され、5月4日現時点は感染者のみに対して隔離が義務付けられています。

3月30日(水)クリエイトジャパンブログ

オーストラリアから日本へ入国した際の水際対策について

日本は3月1日から水際対策が緩和されましたが、筆者はちょうど2月28日の夜にシドニーを発ち、1日早朝羽田に到着しました。その日から現場の対応が変更されるとのことで、現場スタッフの方々も慣れない様子でしたが、到着からイミグレーションを通過するまでに要した時間は2時間ほどで、比較的スムーズに事が進んだように思います。ただ隔離なしで空港を出るには、下記の通りいろいろな条件をクリアした上で、様々な作業が必要となります。

 

*以下、3月1日時点の筆者のケースです(日本国籍、オーストラリア永住権所持、ブースター接種済み、日本への一時帰国目的)。時期や条件によって対応は異なりますので、詳細は条件に合わせて各自でお調べください。

<出発前>

・3回のワクチン接種

・出発72時間以内のPCR検査(空港でのチェックイン用)

・専用アプリ(MySOS)の事前ダウンロード

・COCOAの事前ダウンロード

・Google Map等の位置情報確認アプリの事前ダウンロード

・厚労省の質問票(QRコードを入国時に提示)

・紙ベースの誓約書への記入(入国時に提出)

(現在追加されている項目)

・検疫法第12条の規定に基づく質問(入国時に提出)

 

<到着後>

・3回のワクチン接種証明書の提示

・紙ベースの書類への署名

・アプリ入力情報の確認

・MySOSの設定

・PCR検査とその結果待ち

 

現場スタッフの対応はとても親切・丁寧でしたが、私の対応をしてくれた日本人女性スタッフはまだ慣れていなかったのか、書類に不備な点があるとのことで混乱し、そのカウンターを通過するまでに少し時間がかかりました。妻も同じ内容の書類を用意していたのですが、彼女の方はスムーズに通過できたので、スタッフによって多少対応が異なる可能性があったようです。次に進んだ場所でMySOSアプリを設定するのですが、手前のカウンターでの誤った手続きにより私だけ3回のワクチン接種が確認できなかったので、ここでもまた時間を要しました。その後外国人スタッフに英語のワクチン証明を確認してもらったところ、3回接種済みとあっさりOKが出て通過することができました。

 

PCR検査の結果は1時間以上かかるとのことでしたが、その日はまだ乗客が少なかったのか40分程度で結果が出ました。公共交通機関の利用もOKとのことで、無事高速バスで自宅まで戻ることができました。しかし翌日から定期的にAIから位置確認のテレビ電話があり、それを解除するのに一手間かかりました。本来、自宅隔離も必要がないはずなので、何かの手違いと思い電話に出なかったり、たまに電話をとってAIの指示通り背景が映り込むように対応したりしていたのですが、連日執拗に一日に何回も電話がかかってくるので関連各所に数回連絡をしたところ、やはり手続きの不備で私だけ「要自主隔離」になっていたようです。おそらく3回ワクチン接種済扱いになっていなかったのではないかと思います。同じ日に同じ条件で入国した妻の状況や書類を提出したところ、ようやくAIからの追跡が解除されました。

 

これは3月1日時点での対応ですので、今後は更に規制も緩和されるでしょうし、現場スタッフも慣れていくと思いますので、日本の皆さんが出張される際はもっとスムーズな対応になっているかと思います。以上、今後の参考にしていただけると幸いです。

2月21日(月)クリエイトジャパンブログ


2年ぶりに外国人観光客が国際線空港に到着

この日は朝から各テレビ局の中継者が国際線到着ロビーで観光客(ワクチン2回接種者)を一斉に待ち構え、その心境やどれほど待ちわびていたかを積極的にインタビューしていました。離れ離れになっていたカップルや家族が抱き合うシーンが繰り返し放映され、オーストラリアはウィズコロナに向けて大きな一歩を踏み出したことを強く印象付けた気がします。


ジャズバンドが演奏しながら観光客を迎え、空港スタッフが到着した人たちにギフトを手渡し、到着ロビーはちょっとしたお祭りムードに包まれていました。日本も3月から水際対策が緩和されるようですが、日本の国際線到着ロビーでも近い将来このようなシーンが見られることを心待ちにしたいと思います。

CRe8Japan クリエイトジャパン通信

2022年2月8日

2月21日から約2年ぶりに国境を再開

政府は7日、観光客や留学生、出張者を含む全てのインターナショナルトラベラーに対して、ワクチン2回接種を条件に国境を約2年ぶりに再開することを発表しました。この発表を受け、観光業界や留学業界は一気に活気付くことになり、経済評論家たちはこぞってメディアに出演し、政府の決定を大歓迎とし、今後いかに経済が成長していくかを具体的な指標を持って説明していました。この日はちょうど北京冬季オリンピックのモーグル競技で、クイーンズランド州ケアンズ出身のジャカラ・アンソニー選手が金メダルを獲得したこともあり、明るいニュースが続きオーストラリア中がお祝いモードとなりました。ちなみにケアンズは15万人程度の小さな都市で、雪国とはほど遠い熱帯地方にあります。この環境で一体どのような練習をしたら金メダルを獲れるのだろうと、不思議に思えてなりません。


ところで先日、日本経済新聞のネット版で「コロナ鎖国で日本離れ」という見出しの記事を読みました。記事の内容を要約すると、日本の厳しい水際規制は海外観光客だけではなく、各産業における人材の流入にも大きな影響を及ぼし、多大なダメージを与えているとともに、この鎖国状態が続けば海外からの投資や人材の日本離れが加速する、という内容でした。この記事によると、主要国で外国人の新規入国を原則禁止しているのは日本だけだそうで、各国に比べるとビジネスの悪化は鮮明だと書かれていました。


オーストラリアのオミクロン株感染に対する政策や、人材を確保する先手先手の政策などを目の当たりにしていると、日本のスローで前例主義の政策実行がもどかしく思うのは筆者だけではないようで、周りの在豪邦人の皆さんも同じような意見を述べられています。まん延防止措置などの影響で仕事も少なく閉塞感が漂う日本より、ビザ申請料も免除され、飲食店のアルバイトでも時給1,700円近くを保証してくれるオーストラリアに行こうと考える若者が増えるのも理解できます。実際私の知り合いだけでも何人もの若者がオーストラリアへの留学を決定し、今後来豪する予定です。


日本も遠からずいつかは国境を再開すると思われ、2022-2023冬シーズンは大挙して外国人が日本へスキー旅行に出かけると予測しますが、そのときになって人材不足が深刻な問題になっていないことを切に願います。人材の流入と流出は日本にとって大きな問題になってくるかもしれません。

CRe8Japan クリエイトジャパン通信

2022年2月4日

低年齢層に対するブースターショットを加速

ブースターショットを接種するには2回目のワクチン摂取から4ヶ月間の間隔が必要とされていましたが、1月末より3ヶ月間に短縮されました。筆者は1回目が昨年6月、2回目が8月、そして1月末に3回目を接種しましたが、周りの在豪日本人も次々にブースターショットを接種しています。


ブースターショットは高齢者から順に始まり少しずつ若年層に広がってきていますが、昨日、16歳と17歳にも接種許可を適用すると政府から発表がありました。このようにオーストラリアでは全ての国民に向けたブースターショットが加速していますが、日本では基本8ヶ月間の間隔が必要とのことで、両国で大きな差が出てきているようです。


この差が今後の感染状況や経済にどのような影響をもたらすかはわかりませんが、本ブログで何回か書いてきた通り、今こそ「Drastic(大胆)」「Speedy(速い)」「Smart(賢い)」の3拍子揃った政策が必要ではないかと思います。特に「スピード感ある決断と実施」はキーポイントなるように思います。

CRe8Japan クリエイトジャパン通信

2022年1月25日更新

オーストラリアに入国する際のPCR検査は不要に

全豪オープンテニスで連日大盛り上がりのオーストラリアですが、本日はPCR検査に代わるRAT(迅速抗原検査)の話題についてお届けしたいと思います。

 

オーストラリアに入国する全ての人はPCR検査の陰性証明(出国72時間以内)の提示が必要でしたが、23日からはその制度を廃止し、抗原検査(RAT)の陰性証明(出国24時間以内)の提示で済むようになりました。RATはもともと、医療従事者の感染が拡大し、ドライブスルーのPCR検査場で渋滞が発生したことを受け、今年になって利用が推奨されるようになりました。当初はRATを買い求める人が殺到したため品不足でしたが、ここに来て供給が回復していることもあり、政府はPCR検査に代わる正式な検査手段として認可しました。筆者も早めに入手しておこうと近所の薬局を回りましたが、どの薬局も入口に「Sold out」の張り紙がしてあり諦めかけたところ、スーパーマーケットのサービスカウンターであっさり購入できました。

ウイルス感染者は全国で毎日何万人かは確認されていますが、オミクロン株はデルタ株と比較しても弱毒性という科学的根拠があること、また、感染ピークは過ぎたとの判断もあり、政府はどんどん規制を緩和しています。政治家ははっきりと言葉にはしていませんが、筆者からすると「オミクロン株は恐れるに足らない。経済回復に向けた政策が最重要」と言っているように思えます。

 

一方日本は、まん延防止措置の適用が全国に広がり、デルタ株感染拡大時と同じような政策が実施されています。オーストラリアから日本の報道をみる限りでは、オミクロン株に怯え、パニック状態になっているようにも感じられます。各都道府県で時短要請があると思いますが、その政策では感染防止は限定的になってしまい、国からの補助金もオーストラリアと比較すると少額なので、このままでは経済低迷だけが続き感染も収まらないのではと心配になってきます。オミクロンの科学的なデータをもとにした政策の実施と、1日も早く感染ピークが過ぎることを願うばかりです。

CRe8Japan クリエイトジャパン通信

2022年1月19日更新

日本は13都県にまん延防止措置を適用

感染者数が日本を大きく上回るオーストラリアは経済復活に向けた施策へ

今週から全豪オープンテニスが始まりましたが、世界的に注目された男子テニスプレイヤー世界ランキング1位のジョコビッチ選手の入国問題は、最終的にビザがキャンセルされ強制送還されることになりました。日本でも大きく取り上げられていたと思いますが、ここオーストラリアでも連日メディアが大騒ぎしていました。そこで今回はインバウンド情報とは直接関係はありませんが、最近のオーストラリアのビザ情報についてお伝えできればと思います。

オーストラリアにおけるウイルス感染は未だ拡大しており、亡くなられる方も増え続け、18日の死者数はNSW州で32人、全国では77人にのぼりました。ロックダウンのような厳しい規制はありませんが、やはり市民の間に不安が広まっているのか、街中はオミクロンが出現する直前と比べてひっそりとしているように感じます。政府はロックダウンの生活には戻らないとしており、生活においてもロックダウン中のような閉塞感はありませんが、感染拡大で自己隔離による働き手不足は深刻で、このままでは再び経済が停滞してしまうことが懸念されます。

そんな状況が続く中、スコット・モリソン豪首相は19日、日本人にも大きく係る学生ビザとワーキングホリデービザの申請料に関して、大胆な政策を発表しました。その内容は、これから8週間以内に来豪する学生に対してそのビザ申請料(A$630)、12週間以内に来豪するワーキングホリデーに対してその申請料(A$494)を全額返金する、といったものです。この決定により日本円で約38億円の収入を失うことになりますが、その狙いは経済の復活と人材不足を解消するために、56,000人の学生と24,000人のワーキングホリデーを呼び戻すためです。前述のとおり、ウイルスに感染し濃厚接触になる労働者が増大することで人材不足が生じ、サプライチェーンが機能せず需要と供給のバランスが崩れているのです。

オーストラリア政府はまたしても、感染抑制と経済支援の狭間で難しい決断を迫られていますが、感染者数のピークは過ぎたとの情報もあり、今後は徐々にではありますが経済復活に向けた舵取りに動き出す可能性が出てきました。そんなオーストラリアの状況からすると、日本のまん延防止措置は逆の政策だと思いますが、各国難しい決断を迫られているのは間違いないようです。

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