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CRe8Japan クリエイトジャパンブログ

2021年6月30日更新

 

アストラゼネカワクチンが40歳以下も含め年齢を問わず接種できることに!

 シドニーでの感染者の中に国内線エアクルーがいたことと、ニューサウスウェールズ(NSW)州の感染源場所を最近訪れていた人々から他州にも感染が広まり、西オーストラリア州、ノーザンテリトリー州、クイーンズランド州も短期間のロックダウンに突入しました。爆発的な感染ではなく、ロックダウンも3日程度と短いので、早急の収束を期待したいところです。

 

29日のニューサウスウェールズ(NSW)州(州都シドニー)のPCR検査数は24時間で67,000人、その内陽性者は19人でした。ロックダウンの効果が出てきているように見受けられます。NSW州の感染者は6月30日時点で合計186人、国内全体で合計294人となっています。

 

ところで昨日のブログで「ワクチン接種の加速化」が今後のキーワードになると書きましたが、それに関して良いニュースがありました。

 

オーストラリアはアストラゼネカ(AZ)とファイザーの2種類のワクチン接種でスタートしましたが、開始まもなく40代の女性がAZ接種後に血栓が生じ、それが原因で死亡するケースが発生しました。その結果を受け政府は、50歳以上はAZ推奨、50歳未満はファイザー推奨とし、6月中旬までそのように実施していました。ところが50歳以上でもAZ接種後に血栓が生じ死亡するケースが発生したため、急AZは60歳以上推奨と政府が発表し、国民は混乱することになります。そして最終的に政府は昨日、血栓が生じて死亡するケースより、コロナに感染して重症化するケースの方が圧倒的に確率は高いとし、AZは40歳以下も含めて年齢を問わず希望する全ての国民に接種できるようする、と発表しました。ただし医師の間では60歳以下へのAZは推奨できない、という意見もあがっています。これまでコロナを封じ込めていたオーストラリアはワクチン接種が進んでいませんでしたが、今回のシドニーのクラスターにより市民の間では感染への不安が高まっています。

 

ワクチン接種に関して、国民は政府の決断に振り回されることになりましたが、現在はワクチン接種センターには長蛇の列ができ、ワクチンの加速化が急速に進むことになったと思います。実を言うと筆者はすでに1回目のAZを接種しており、年齢的に2回目はファイザーが適用されるのですが、1回目と2回目は同じワクチン接種が必須ということで、2回目のAZ接種を少し心配していました。今回の決定で安心して2回目の接種ができそうです。日本もワクチン接種の加速化が進みますように!

CRe8Japan クリエイトジャパンブログ

2021年6月29日更新

ウインブルドンで開催されている全英オープンテニスのコロナ対策が素晴らしい!

シドニーのロックダウンは経済的に大きなダメージを受けますが、感染力の強いデルタ株を封じ込めるには必要な政策だと考える人が多いと思います。ロックダウン期間2週間の状況を見極める必要がありますが、感染を抑えることができれば今後の経済成長や国境再開に向けての加速化が期待できると思います。

 

ヨーロッパで開始される「デジタルワクチンパスポート」を活用した隔離なしの国境を越えた旅行は、旅行業界やインバウンド業界にとってはとても良いニュースだと思います。オーストラリアの観光相やスキーリゾートのCEOもすぐこのニュースに反応しました。オーストラリアはヨーロッパでの状況や様子を注視し、この制度が機能するようであれば早急に導入を検討するのではないかと思います。その相手国として日本がいつどのタイミングで入るか?注目したいところです。

 

話は変わりますが、ロンドンで開催されている全英テニスオープンはご覧になっていますか?ご覧になった方はお気づきかと思いますが、観戦人数が制限されているとは言え、結構な人数の観戦客がマスクなしで例年と変わりなく試合を楽しんでいます。気になってウインブルドンのサイトを調べたところ、入場するには、2度のワクチン接種を完了してから14日間経過している証明書か、48時間以内のPCR検査陰性証明を提示する必要があるとのことです。つまり選手も関連者も観戦者も、感染を恐れることなく安心して大会に臨めるということです。さすが!と思ったと同時に「国境再開のキーポイントはやはりワクチン接種だ」と心躍る思いがしました。

 

もう一つグッドニュースがありました。今回のシドニーのロックダウンですが、その発端となったのがボンダイ・クラスター(シドニー東郊のボンダイエリアで発生した集団感染)です。そこにいた一人が感染に気づかずシドニー南西部で開かれたバースデーパーティーに参加したのですが、参加者30名の内26人が感染し、感染しなかった残り4名は全てワクチン接種済みだったとNSW州政府が発表しました。この事実がワクチン効力の証明となり、接種を加速化させる要因になるのではないかと思います。

 

今後日豪の国境再開に向けたキーワードは「ワクチン接種の加速化」と「ワクチンパスポートの導入」ではないかと思います。

CRe8Japan クリエイトジャパン通信

2021年6月28日更新

6月28日(月)現在の情報

 

シドニーでの感染者が合計80名を超えたことから、州政府は26日(土)午後6時からシドニー大都市圏全域に対して2週間のロックダウンを実施。本日6月28日発表24時間以内のニューサウスウェールズ(NSW)州の市中感染者数は30名。感染の可能性がある施設、店舗、公共交通機関などを感染者のチェックインアプリ*等で洗い出し、その特定の場所・時間にいた全市民に対しPCR検査(無料)を要請し、26日には5万5千人以上が検査を受ける。その後ノーザンテリトリー(州都ダーウィン)や西オーストラリア(州都パース)、南オーストラリア(州都アデレード)でも感染者が確認され、それぞれの州で独自の行動制限が実施される。

*チェックインアプリ:レストラン、パブ、映画館、遊戯施設、スーパー、ショッピングセンター、小売店、運動施設等に入出店する際に、客が店舗や施設のQRコードを専用アプリで読み取る。全ての小規模・大規模事業者はチェックインQRコード導入が義務化されている。

 

来週からヨーロッパ14カ国で「ワクチンパスポート」(ワクチン2回接種済みの人に発行されるデジタル証明書)を使った隔離なしの旅行が開始されることを受け、テハン観光相は「オーストラリアもこの仕組みを利用し自由に旅行できるようになる可能性がある」とコメント。

 

ビクトリア(州都メルボルン)のロックダウンが解除されたことから、スキーリゾート大手マウントブラーとマウントスターリングリゾートのベネット最高経営責任者が、ビクトリア州住民に最近まで課していたスキーリゾートに入るためのPCR陰性証明の提出は、必須から推奨に格下げすると発表。また「ワクチンパスポート」は今後のCOVID時代における旅行再開のシグナルになる可能性がある」とコメント。

6月25日(金)現在の情報

 

シドニーでのデルタ株感染者が60名を超えたため、シティ中心を含む4つのエリアで25日(金)の夜中から少なくとも1週間ロックダウンを実施することを州政府が発表。この4つのエリアの住人及び労働者はロックダウン中ステイホームが義務付けられる。リモートで働けない、リモートで教育を受けられない、医療や介護による事由、生活必需品の買い出し、少人数での運動、の理由や目的であれば外出可。

6月23日(水)現在の情報


シドニー郊外でデルタ株のクラスターが発生し20名以上の感染者が確認されたことで、屋内施設でのマスク着用義務が一部の特定エリアからシドニー大都市圏(全域)に拡大・適用される。


ニュージーランドとの隔離なしの旅行(NZ Travel Bubble)が一時的に(72時間)中断。



6月22日(火)現在の情報


東京オリンピックの観客は最大1万人に決定したこと、大会開催中に緊急事態宣言が発令された場合は無観客もあり得ること、など日本のニュースを各テレビ局が配信。


シドニーで数ヶ月ぶりに市中感染者が確認されたことで、6月18日(金)からシドニー広域エリアの公共交通機関内と感染者が確認されたエリアでは公共施設内でのマスク着用が義務付けられる。感染元は国際線クルーをホテルまで送迎したバスドライバーであることが判明しており、その妻も含めた行動ルートを追跡アプリで徹底的に洗い出し、感染者が乗車していたバスや電車、プラットフォームや施設などを特定・公開し、各特定場所・各特定時間にいた場合は直ちにPCR検査を受けなければならないと通達。さらに濃厚接触者に関しては直ちに保健局に電話連絡するとともに、検査の陽・陰性にかかわらず、14日間の自主隔離を義務付ける。



6月18日(金)現在の情報


NZへのスキー旅行が人気の中、オーストラリア国内のスキーリゾートは72時間以内のPCR検査の陰性証明がないと入れないことを発表。



6月15日(火)現在の情報


メルボルンのロックダウンはその後感染者の拡大が抑えられていることから既に解除済み。6月15日発表の市中感染はゼロ。



6月2日(水)現在の情報


大手テレビ局「チャンネル9」は大々的なワクチン接種のプロモーションを開始し、ワクチン接種を積極的に促進。カンタス航空は2回ワクチンを接種した人を対象にキャンペーン(マイル1000ポイントやフライトバウチャーをプレゼント)を行うことを発表し、7月からのスタートにむけて現在準備中。また、抽選で10人にメガ・プライズ(最大家族4人まで、カンタスとジェットスターのフライトネットワークならどこでも1年間利用できる権利)をプレゼントし、ワクチン接種を促進することで飛行機での安全な移動を目指す。 

CRe8Japan クリエイトジャパン通信

2021年5月のまとめ

5月27日(木)現在の情報

メルボルンで5月27日朝までに26名の感染者が確認されたことで、27日から28日に日付が変わるタイミングでメルボルンを含むビクトリア州全体で少なくとも1週間のロックダウン。

 

 

5月23日にシドニーで開催された「スノートラベルエキスポ」の情報(以下筆者個人のFacebookより引用)

 

5月23日(日)にシドニーで開催された「スノートラベルエキスポ」に参加してきました。2年ぶりの開催ということもあり開場時から多くの人が訪れていて、日本からも長野、東北、トマムなどが出展していました。主催者とも情報交換し、次冬シーズンの日本へのスキー旅行需要についても意見を聞きましたが、予想外にかなり前向きな意見が返ってきました。なぜ予想外かというと、政府が最近「自由に海外旅行に行けるのは2022年半ばになるだろう」と発表したからです。主催者に何度も「次シーズン(2021-2022)」ではなく「次の次シーズン(2022-2023)」の間違いではないかと確認しましたが、次シーズンだと言い切っていました。その日他のスキー旅行関係者とも意見を交わしましたが、おおよそ下記のような見解でした。

 

● 4月に国境を再開したNew Zealandへのスキー旅行(NZ Travel Bubble)の予約が現在殺到していて、旅行意欲が爆発している。その次のスキー旅行Travel Bubbleは欧米ではなく間違いなく日本だ(Japan Travel Bubble)。本日のエキスポでも日本のブースが人気で、実際予約が入っていることからも明らかだ。

 

● 国境再開が2022年半ばになったとしても、海外旅行をしたい人は可能な限り早めにワクチン接種2回を完了させるだろう。政府も2回のワクチン接種が完了した人の自由な渡航を目指しており、現在は接種の加速化と徹底に必死である(オーストラリアではコロナによる死者が最近出ていない一方、ワクチン接種により血栓が生じ亡くなる方が数人出ているので、国民の三人に一人は接種に消極的だと言われている。海外旅行や海外出張を計画している人は三人に二人の接種積極派に含まれる)。

 

● 日本へスキー旅行に行く人は、空港に到着したら人混みを避け直ちに雪山に向かうだろう。雪山の方が安全なイメージが強いからだ。現在の日本の感染状況は把握しているが、感染に対しては個人の責任において最大限の努力はするし、旅行の商品やルートも安全性の高いものを選択するだろう。日本の感染防止対策に対しても信頼している人が多い。

 

政府が2022年半ばの国境再開を発表した後、ニューサウスウェールズ(NSW)州のベレジクリアン首相が「国境封鎖による観光産業の経済ダメージは毎月1.5 billion(約1,300億円)におよぶため、早期の国境再開に向けた政府の取組みが必要である」と主張し、それに対してハント国家保険相が「今後はワクチンを2回接種した人はホテル隔離なしで外国と行き来できる可能性がある」と発言しました。シドニーでは5月10日に大型ワクチン接種センターがオープンし、接種を加速化させています。私自身6月初旬と8月下旬にワクチン接種予約をしましたので、9月以降いつでも日本に帰れるように準備しています。まわりの知人に確認しても海外に行く可能性のある人はどんどん接種を進めています。

 

 

5月17日の週のアップデート(最新情報)

ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州のベレジクリアン首相が、国境封鎖による観光業の経済ダメージは毎月1.5 billion(約1,300億円)にもおよぶとし、早期の国境再開に向けた政府の取り組みが必要であると主張。それに対してMinister of Health(保健省)のHハント保健相は、今後はワクチンを2回摂取した国民はホテル隔離等を行わずに渡航できる可能性があると発表。

 

 

5月10日以前の情報

以下の情報は2021年5月10日現在のものです。ただし一部の情報は3月中旬にクリエイトジャパンが開催したスキー旅行セミナーと商談会で入手したものとなります

 

<オーストラリア国内の現状>

 

● ニューサウスウエールズ(NSW)州の市中感染は今年1月19日から5月上旬までほぼゼロ更新が続いておりコロナはほぼ収束(3月中旬に隔離用ホテル警備員と清掃員が陽性)。街中でマスク着用は1割程度。感染者は確認されるものの海外から帰国した人のみで、ホテル隔離中に毎日3人から10人ほど確認されている。

(次ページシドニーモーニングヘラルド紙グラフ参照)

シドニーにおいては5月上旬に感染ルート不明の市中感染者が一人出たことで、数日間にわたり感染者が辿った場所(店舗や飲食店)にいた市民は、直ちにPCR検査(無料)と自己隔離の要請がでる。今後数日のうちに市中感染の可能性がある人から陽性者が出なければ、今回の市中感染は収束とみなされる予定。現在は公共交通機関内や小売業の従業員はマスク着用義務が発令されているが、近々解除される見通し。(その後すでに解除済み)

(シドニーモーニングヘラルド2021年5月7日より)

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● 昨年3月から禁止されていた海外渡航は、ニュージーランド(NZ)とは4月19日から14日間のホテル隔離なしで渡航できるようになり、NZ Travel Bubble(泡のようにどこへでも自由に飛べる)と呼んでいる。空港内には「Green Zone」と呼ばれる感染していない人たちだけが通る経路が設置されている。ただし、グリーンゾーンとレッドゾーンの飛行機の清掃係員が兼任だったという問題点も指摘され、今後も改善点は出てくるものと思われる。

NZとのトラベルバブルは、5月初旬シドニーで感染ルート不明の感染者が確認されたため、5月6日から一時的に中断したが10日から再開。

 

● オーストラリア国民への1回目のワクチン接種完了が、計画より供給が遅れているため今年10月後半から12月後半に変更されたが(さらに延びる可能性あり)、カンタス航空は当初の計画通り10月31日から国際線の運行再開を予定し、予約も受付中(キャンセルも柔軟に対応)。政府はシンガポールと7月からの国境再開を協議中。その次の候補としてフィジー、中国、日本、韓国などがあがっていたが、各国の今後の感染状況による。

 

● NZ Travel Bubbleが好調。NZのスキー場の宿泊は前日までキャンセル料無料で対応中。エアラインチケットはキャンセルできないが、次回の渡航時にクレジットできるように対応。

 

● 6月に開催されるTourism Australia主催の旅行博の出展料は無料となった。出展に関わる出張費(国内航空券や宿泊費など)も政府が負担し、旅行業界の支援に乗り出している。

 

● インドでの爆発的なコロナ感染を受け、政府はインドからの入国制限を4月後半から厳格化し、インド変異種(現デルタ株)をオーストラリア国内に拡散させない政策を実施中。インドの悲惨なニュースは連日テレビで流れているが、日本を含むその他の国のコロナ関連ニュースはそれほど流れていない。

 

● 5月10日大量にワクチン接種ができる大型施設がシドニー郊外にオープンした。これによりNSW州はワクチン接種を大幅に加速させる計画。オリンピック参加選手は年齢に関係なく優先的に接種。

 

<オーストラリアの旅行会社とメディアの意見や情報>(3月中旬時点)

 

● 日本へのスキー旅行需要のポイントは、オーストラリアに戻った際の2週間のHotel quarantine(ホテル隔離)制度だ。なくなればかなり期待できるし、なくならなければ難しい。

注)オーストラリア入国の際のホテル隔離は強制で、宿泊代や食事代で1人あたり$3,000徴収される。

 

● 国境が再開された場合、オーストラリア人は感染が収まらない北米やヨーロッパへのスキー旅行を避けて、日本へのスキー旅行を選択するとは思う。欧米はまだ危険なイメージが強い。今シーズンの日本はたくさん雪が降り最高だったことをスキーファンは知っていて、うずうずしている人がたくさんいる。

注)この情報は日本の第4波が拡大する前のものなので、今後の日本の状況により変化する。

 

● 国境が再開した場合、6割〜7割のスキー客が次シーズン日本に戻るのではないか。一方、ヨーロッパや北米はスキー客が戻るまでに数年かかると予想。

注)日本の第4波拡大前の情報なので、今後の日本の状況により変化する。

 

● 日本への旅行に関する旅行会社への問い合わせは徐々に増えてきているものの、予約数はまだ今のところ限定的。現在のコロナ禍においては予約時にデポジットを取らないようにしている旅行会社もあり、日本の宿泊施設に対しては柔軟なキャンセルポリシーで対応してほしい。ニセコはキャンセルポリシーが厳しい宿が多いので、次シーズンは他のスキーリゾートに流れる可能性もある。

 

● 政府の国内旅行促進を狙ったオーストラリア版Go To Travel(4月〜10月の国内線エアチケットの半額を政府が負担)が始まり、旅行業界にとっては明るいニュースだが、旅行会社にとっては単価の高い海外旅行を早く販売したい。政府の支援も含めて10月以降の海外旅行の予約増に期待している。

 

● オーストラリア国内では「トラベルバブル(Travel Bubble)」と呼ばれているが、1年以上抑制されている旅行欲、消費欲がいつ、どこではじけるかが注目されており、日本はそのディスティネーションとして人気ナンバーワンだとの意見は旅行会社もメディアも共通している。

 

●公務員や安定した企業に勤めている人にとってはさほど収入に影響はなく、むしろ今まで旅行に費やしていたお金をプールしており、今後国内旅行、海外旅行への消費が加速する可能性がある。

 

● 長野県を中心にスキー旅行を販売している中堅旅行会社はSNSで情報提供しているが、早く日本に行きたいという声しか聞こえてこないとのこと。

 

● 昨年は中止となったスノートラベルエキスポは、5月に実施することで決定。日本のスキーリゾートや行政はオーストラリアへの入国が難しいので、現地でスタッフを調達して出展。エキスポの主催者とも情報交換をしたが「コロナの状況に左右されることなく、継続的に出展することが肝心」との意見。

 

<オーストラリア経済について>

 

● コロナによる影響で経済的ダメージはあるものの、昨年4月から続いていたRecession(景気後退)は12月にプラス成長に転じたとの発表があり、その後徐々に豪ドル高が進みオーストラリアの経済は顕著に回復している。特に4月に入り経済回復は予想を大きく上回る好調さで求人数が急激に伸びている。

 

● コロナによる経済的な旅行会社へのダメージはあるが、一方、今まで旅行に使っていたお金が不動産投資や飲食、女性は美容や宝飾に流れている傾向にある。経済が回復して豪ドル高が進み、ボーダーさえオープンすれば日本への旅行需要は心配していない。ただし今後の日本の感染状況による。

 

● 日本食の人気は相変わらず高く最近のトレンドは「お任せ料理」で、店名に「OMAKASE」と入れる和食店が増えている。どのお店もコース料理で一人1万5千円〜2万5千円ほどするが、人気店は数ヶ月先まで予約が取れない繁盛ぶり。

 

● 2021年3月まで支給されていたJob Keeper(雇用助成金)の終了に伴い、旅行業界の新たなスタッフの解雇や会社の倒産も懸念されるが、現在実施中のオーストラリア版『GO TO TRAVEL』(今年10月まで最高80万枚の国内線チケットの半額を政府が負担)による観光需要拡大に期待。

*Job Keeperとは?前年対比で3割以上収入が減り、基準を満たした個人事業主や被雇用者に支給した助成金。2020年4月から9月までは1週間あたり750ドル、10月から12月は1週間あたり600ドル、1月から3月までは1週間あたり500ドルを1年間に渡って支給。満額支給された場合は年間約3万3千ドル。

<オーストラリアの旅行業界について>

 

● ここ1年間の国境封鎖により観光産業も大きな影響を受け、旅行会社スタッフの一時解雇や、ビジネスモデルの再編制などを行っている。

 

● 大手旅行会社グループFlight Centre(駅中や駅前、街中にある格安旅行会社)は、全国に約740あった店舗を332店舗まで縮小し、約4,000人を解雇。新たに富裕層向けに「The Travel Junction」というブランドを立ち上げ、ニッチ市場のシェア拡大、顧客重視型ビジネスモデルへの再編成を実施。

 

● 競合旅行会社同士で、オフィスや会計士のシェアを加速。ホームベースエージェントやフレックス時間勤務を増加し、可能な限りのコストダウンを実施。この1年は多くの返金やキャンセル手続きの業務に追われる。基本在宅ワークなのでオンライントレーニングやウエビナーへの参加が増えている。

<今後の海外旅行スタイルについて>

 

● 海外渡航が禁止されている今、オーストラリア人の海外旅行熱はヒートアップ。国境再開後、67%は6ヶ月以内、43%は3ヶ月以内に海外旅行を希望(Expedia調べ)、Virtuoso(富裕層専門の旅行会社の集まり)メンバーの60%は、国境再開後、2021年内に海外旅行を希望(Virtuoso調べ)

 

● 今後の動向として旅行者は信頼できるブランドや、トラベルコンサルタントを通した旅行を予約。コンサルタントの専門知識を頼りにする傾向。コンサルを受けることができない低価格商品は避ける傾向。ソーシャルデイスタンスに配慮した商品、プライベートガイド・トランスファー利用や、プライベート体験への参加増加。人と接触しないチェックイン・チェックアウトシステムを取り入れているコンドミニアム系の利用の増加。キャンセルや変更に対しフレキシブルに対応できる旅行商品を選ぶ傾向にある。

 

● 国境再開後の回復が一番早いマーケットは、経済が落ち込んでも家計に余裕があり、ソーシャルディスタンスに配慮した高額旅行商品の購入が可能な富裕層であると見込まれる。

<どのようなデスティネーションの回復が早いか?>

 

● オーストラリアと自由に行き来ができ隔離も免除される国

 

● ある程度コロナ感染者が抑えられている国

 

● 高い信頼性で「安全」&「清潔」(Safe & Clean)と認識されている国

※これは多くのオーストラリア人の日本に対するイメージと一致。日本に対する唯一ネガテイブなイメージは「混雑」。

安心して旅行できるディスティネーションとしての情報を、継続的に提供し続けることが重要。

5月のまとめ〜筆者の所感

 

世界的なコロナ禍において、オーストラリアは厳しい規制のもとウイルスの封じ込めに成功しており、各国の中でもトップレベルで経済が回復しています。また、政府の手厚い支援金や助成金の支給もあり、個々の消費意欲も顕著に増加傾向にあり、特にオーストラリア人にとって重要な『旅行意欲』を1年以上抑圧されていることで、いつかどこかのタイミングでその鬱憤がはじけることが予想されます。

 

その状況や状態を「トラベルバブル」と名付けてメディアはこぞってそのディスティネーション先を報道していますが、日本はそのトップに位置付けされており(日本の第4波が拡大する前の時点)、コロナ感染状況が落ち着けば実際多くのオーストラリア人が訪れる可能性は大きいと予想します。まさに日本のインバウンド業界は今、『苦難の中にも光明あり』の状況にあり、ピンチをチャンスに変える絶好の機会と捉えて行動する必要性を感じます。ただコロナ感染状況は国の政策に大きく左右されますので、企業や地方行政においてはできる範囲のことを着実に実施していくことが肝心と考えます。

 

インバウンドプロモーションに関しましても、「コロナが収まったら実施する」「コロナ渦中の間は実施しない」ではなく、近い将来必ず外国人観光客が戻ってくることを信じて、数年、もしくは5〜10年単位の長期的、かつ継続的な実施を切に願うところです。

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